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ネタばれ注意「生誕120年 富本憲吉展」
今週の日曜日に京都国立近代美術館で「生誕120年 富本憲吉展」を鑑賞
しました。諸事情により書くのが遅くなりましたが、感想を書きます。
この展覧会は京都では9月10日(日)まで開催され、そのあと
茨城県陶芸美術館(2006年9月30日(土)~12月3日(日))、
世田谷美術館(2007年1月4日(木)~3月11日(日))、
岐阜県現代陶芸美術館(2007年4月7日(土)~5月27日(日))、
山口県立萩美術館・浦上記念館(2007年6月30日(土)~8月
19日(日))へ巡回します。いま詳しい内容や批評を読みたくないと
いう人はここから下は読まないでください。



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 富本憲吉は、1955年に第1回重要無形文化財技術保持者となった陶芸家であるが、
その出発点は東京美術学校図案科での作品ならびに卒業後の英国留学である。展示では
まずその時代のスケッチなどに焦点を当てている。英国留学中はステンドグラス制作を
学ぶかたわらヴィクトリア・アンド・アルバート美術館へ通ってスケッチをしたという。
そのスケッチから既に、富本の芸術家としての姿勢が垣間見える。

 帰国後、富本はいよいよ試行錯誤の陶芸の制作を開始する。その軌跡を展示では
「大和時代(1913-1926)」「東京時代(1926-1946)」「京都時代(1946-1963)」と分けて
いる。ただしこの3つの時代を通して、富本が貫いている創作理念がある。それは
「模様から模様を造るべからず」ということである。それを貫きながら時代を経るに
つれて独創性や完成度を高めたのは驚嘆に値する。

 各時代に戻って感想を述べると、まず大和時代では、楽焼の素朴さ、白磁の均整が
とれてしかもやわらかいフォルム、そして面白いのは「陶板」名づけられた陶の円板
である。ちょうど色紙に絵を描くような感覚のものである。この頃から風景や草花
などを模様として取り入れたところに富本の作品の特徴が見られる。

 東京時代になると、模様の装飾性が顕著になるとともに、色づかいも細かく計算される
ようになる。「柿釉色絵柘榴模様飾壺」「色絵唐花草模様八角皿」「色絵薊模様飾筥」は
植物の具象的な模様を取り入れつつ器としてのデザインの完成度も素晴らしいと思った。
また「柿釉色絵四弁花模様蓋付小壺」「色絵四弁花模様飾壺」「色絵更紗模様中皿」
「色絵四弁花更紗模様六角飾筥」は、この後富本が創り出した模様である「四弁花模様」
の器への展開がよく考えられていて、独創的で美しい。

 京都時代になるとより模様の使い方が自由自在になったようで、大和~東京と続いた
試行錯誤の創作の集大成を見ているような気がした。文字や植物などの具象的な形を
描いた陶板、「色絵四弁花更紗模様大鉢」のような模様を見事に器にフィットさせた
作品などがそうである。しかし富本の美への探求はそれでも終わらず、京都時代には
羊歯模様を生み出し、また技法の開発としては色絵金銀彩の完成により、「色絵金彩
羊歯模様角瓶」「赤地金彩羊歯模様「白雲悠々」字画香炉」「色絵金銀彩四弁花模様
飾壺」などの美しい作品を多数残している。

 しかし私が一番すごいと思ったのは、3冊にもわたる「富本憲吉模様集」をはじめ
とした多数の素描である。これらは野外での動植物のスケッチであり、まさしく
「模様から模様を造るべからず」の実践であった。私もよく自分で模様を描いて
文房具や日用雑貨などを作っているので、富本の考え方に学ぼうと思った。
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by imymegallery | 2006-08-25 08:33 | 展覧会の感想
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