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先週の火曜日、デザイン・フェスタを終えて京都へ帰る途中に原美術館で
「ヘンリー・ダーガー 少女たちの戦いの物語-夢の楽園」展を鑑賞しました。 諸事情により書くのが遅くなりましたが、感想を書きます。 この展覧会は7月16日(月・祝)まで同館で開催中です。いま詳しい内容や 批評を読みたくないという人はここから下は読まないでください。 -------------------------------------------------------------------------- 全15巻、約15000ページにも及ぶ小説「非現実の王国で」。そしてその執筆と並行 して長さ3m近くにもなる作品を含む数百枚の絵を、誰に見せることもなく半世紀 以上にわたって書き続けた孤高の人、ヘンリー・ダーガー。 私は学生時代にアート・ランダムシリーズ(京都書院)でちらりと見ただけで、 長い間彼の名前を忘れていたが、いつものようにインターネットで美術館情報を 探していたらこの展覧会があることを知り、ちょうどデザイン・フェスタで東京 へ行くことになっていたので、その帰りに疲労を押して原美術館へ行った。 小説「非現実の王国で」のあらすじは、悪魔を信奉して子供を奴隷にして虐待 しているグランデリニア国と、キリスト教を信奉する国々による連合国軍との 戦いを描いた壮大なスケールの物語だそうだ。そして、この小説の執筆と並行 してダーガーは、連合国軍の勇敢な少女の戦士たち、ヴィヴィアン・ガールズを 中心とした絵を描き続けた。それらは単なる小説の挿絵ではなく、ダーガーの 内部に広がる妄想、感情を紙いっぱいに描き尽くした世界なのである。 ダーガーが描いた、繰り返される戦いと虐待そして殺戮を描いた絵、その中でも 輝き続けるヴィヴィアン・ガールズをはじめ、羊の角や蝶の羽根を持つ子供たち の群れの絵、そして画面いっぱいに花が咲き誇る楽園の絵……それらを目の当た りにして、人間の持つ憎しみや怒りなどの邪悪な感情や、子供たちを愛しいと 思うけれどもそれだけでは説明できない複雑な感情をこれらの絵に昇華したの だろう、と思った。その綺麗な色彩と、細かく描き込まれた絵の数々は、ダー ガーの全人生の結晶だと感じたくらいに私を圧倒するものがあった。 ダーガーの小説と絵は、死ぬ直前に彼の住んでいたアパートの大家であった ネイサン・ラーナーによって日の目を見たとのこと。私はアパートの一室に こもって孤独を貫いて小説や絵を書き続けたダーガーの人生に生きる力、絵を 描き続ける力をもらったような気分になったと同時に、この偉業を後世に 伝えてくれたネイサン・ラーナーにも尊敬の念を抱いた。 私は彼の世界を真似て描くことはできないし、彼の生き方も真似できないけれど、 彼の世界を垣間見て受けた衝撃は私の心の中でじわじわと大きくなっていくばかりだ。
by imymegallery
| 2007-06-03 23:06
| 展覧会の感想
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