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ネタばれ注意「天体と宇宙の美学」展(滋賀県立近代美術館)その1
 昨日、滋賀県立近代美術館で「天体と宇宙の美学」展を鑑賞しましたので
感想を書きます。この展覧会は2007年11月18日(日)まで開催中です。いま
詳しい内容や批評を読みたくないという人はここから下は読まないでください。









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 芸術の秋は、一応芸術みたいなこともやっている私にとっては超多忙な
時期なのである。特にこの秋は東京での個展の準備のため、行きたい展覧会
も絞らなくてはならない、どこに行こうかとネットで調べていたら、この
展覧会の情報を見つけた。「天体と宇宙の美学」。私は最近、皆既月食を
見るなどして、宇宙やその中に浮かぶ天体の姿にとても心ひかれていたので、
迷わず行くことを決めた。

 この展覧会は「第1章 物語の中に描かれた天体」「第2章 太陽と月」
「第3章 天文学と占星術」「第4章 星空と宇宙の旅」の4つのテーマ
から構成され、作品が展示されていた。

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 第1章の、J.J.グランヴィルの「彗星の大旅行」、エドワード・コーリー・
バーン=ジョーンズの「フラワー・ブック」の一連の作品は、その魅力的な
ファンタジーの世界に胸がときめくような感覚を覚えた。また、15世紀末の
アルブレヒト・デューラーのヨハネ黙示録を題材にした作品は、後述する
聖書の特徴的な世界観を描いている。

 第2章では、太陽や月が描かれた作品が展示されていた。その表現は様々で
あるが、太陽や月にこめた思いが強く感じられる作品が気に入った。具体的に
挙げてみる。高島野十郎「林辺太陽」の写実をつき詰めた末の画面中央から
放たれる崇高さ。浅野弥衛「Work 22」の軽妙洒脱、鶴岡政男「静かなる夜(山と
月と湖)」の黒く二重に見える月とぐにゃぐにゃした物体による不気味な世界、
高間惣七「月」の生き生きとした描写、鴨居玲「月に飛びつく男」の深い闇、
萩原英雄「道化師 No.8」の遊び心、深沢幸雄「月のマークのTシャツ」の美しい
色彩、高橋義治「春の夜の鳥」のカラフルで温かみのある色彩。
 あと、この章で特記しておきたいこととしては、
・太陽が月と重なり合う日食(日蝕)は、太陽と月の婚姻とみなされ、それは男性
 原理(太陽)と女性原理(月)の結合から万物が生じるという錬金術の思想を暗示
 していること。
・月は夢幻の世界、妖しい魔力、癒しなど実に多彩な表情を見せているが、いず
 れにしても多くの画家が不思議な魅力にひかれて描いていることは確かだ。
・大正3~4(1914~1915)年にかけて、恩地孝四郎、田中恭吉、藤森静雄によって
 作られた版画と詩の雑誌「月映」は、版画の味わいを生かした、是非手に取り
 たくなるような雑誌である。彼らの作品の中では、恩地孝四郎「ただよへるもの」
 の幾何学的なシャープさが印象に残った。

 第3章からの作品群からは、黄道十二宮に代表される占星術のイメージの豊かさ
とそれが芸術家に与えた影響の大きさがうかがえる。しかし昔は天文学と占星術が
密接に結びついていたからか、わりと理知的な印象を与える作品が多かった。
ジョセフ・コーネル「陽の出と陽の入りの時刻、昼と夜の長さを測る目盛り尺(メモ
レンマ)」、長谷川潔「幾何円錐型と宇宙方程式」、深沢幸雄「天空を計る」、柄澤齊
「星盗り」はその顕著な例である。

 第4章は惑星や銀河、星雲、流れ星などを描いた作品が展示されていた。この中にも
駒井哲郎「CONSTELLATION I」やスタンリー・ウィリアム・ヘイター「ブラックホール」、
吹田文明「星を抱くC」「白鳥座」、日和崎尊夫「小さな宇宙」、柄澤齊「洪水C」など、
宇宙の神秘に取りつかれたかの様な、そして私もそれらの作品に取りつかれてしまい
そうな作品が並んでいた。一方で、野村仁や金山明といった作家は、実際の天体観測から
作品を生み出していて興味深かった。

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 近年では科学技術の進歩によって、宇宙の姿が少しずつ解明されているが、それでも
謎は多いし、また例え解明されたとしても宇宙の神秘性、美しさはいささかも減ること
はないと思う。私も宇宙をテーマにした作品を創りたいと思う。それは具体的な天体や
天文現象だけではなく、私が想像する宇宙、宇宙を構築することでもある。
 最後に、今回の展示で私が興味深いと思ったことは、版画技法による作品が多かった
ことである。特に木口木版の作品は、なかなかお目にかかれないだけにその美しさに
惚れ惚れした。私も木口木版の技術を習得して、作品を創りたいと思った。
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by imymegallery | 2007-10-15 23:15 | 展覧会の感想
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